水素イオン水

 最近は「水素水」というものが話題になっているそうだ。ということで、まずは「水素水」とはどんなものなのか、簡単に調べてみることにする。
 ふむふむ、基本的に「水素水」とは、水に水素ガスを溶かしたもの(水素ガスが溶けているもの)らしい。効用やら何やらについては、いろいろと言いたいこともあるが、ここでは何も言わない。
 あるガスが水にどこまで溶けるのかは、温度・圧力によって決まっている(これを溶解度という)。溶解度は、化学便覧や理科年表などの一般的な本にも載っているから、図書館などで簡単に調べることができる。
 日常環境での水素ガスの溶解度を調べてみると、水1リットルに対して最大0.0016g (1.6mg)溶けることが分かった。この値から計算すると、水中の水素ガスの濃度は、最大で約0.0008mol/Lになる。mol/Lが何かということは気にせず、ここは数字のイメージだけで問題ない。
 もちろんこれは、ボトルに入って密栓されているような状態でなら最大約0.0008mol/Lという濃度の水素水を作ることができるという意味なので、フタを開けると水素ガスの濃度は0へと急速に下がってしまうことには注意したい。あくまで作ることができる「最大」ということだ(市販品では多くてもこの半分以下だ)。
 まとめると、「水素水」とは「最大で約0.0008mol/Lの水素ガスが溶けている水」となる。
 うーん、計算はしてみたものの、これではすごいんだかすごくないんだかよく分からない。まだインパクトも弱いか。せっかくなので、もう少しすごそうなものを考えてみよう。
「水素イオン水」なんていうのはどうだろう。
 イオンという単語が加わることで、何かがかっこよくなった気がするかも。何かの効用がありそうな雰囲気もしないでもないし。
 さて、実は水素イオンの濃度については、すでに便利な単位がある。pH(ペーハー)というもので、値が小さいほど水素イオン濃度が高いということを表す。小さい方が大きいとはよく分からない話かもしれないが、そこは気にしないことにする。ちなみに、水のpHは7。ここが基準。
 pHが7よりも小さいものを探してみると、結構いろいろある。あ、何とコーラはpH=2。これを水素イオン濃度に換算すると、0.01mol/L。これは水素水での最大水素ガス濃度(0.0008mol/L)の10倍以上ではないか。これはいい。何かすごそうな感じになってきた。
 でも待てよ、コーラではさすがに健康っぽくない。むしろ悪そうだ。困った、このままではいけない。
 何か他にないかと探してみると。あった、レモンもpH=2だ。これなら健康っぽい。しかも天然物だから、オーガニック。ならばいっそのこと。
『オーガニック水素イオン水 (ビタミンC入り)』
 これでどうだ。何かとってもすごいものができた気がする。水素の量は「水素水」の10倍以上。でもって、オーガニックにビタミンCだ。
 ポッカサッポロあたりが出したら、売れるかもしれない。というか、これでいいじゃないか。って、いいのか…?


 ちなみに、分かっていると思いますが、いろいろ茶化しています。でも、使っている数字は本当の値です。言いたいことは分かりますよね。ご参考までに。